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出草之歌・・・古の戦いの歌、そして現代への怒りの歌へ

アップリンクで映画「出草之歌」(しゅっそうのうた)を観た。台湾に住む原住民(以後ネイティブ)の人たちが、靖国に祖先が合祀されていることへの取り下げを要求するために来日していた。それがこの映画のスタートである。彼らは、台湾では40万人という少数の集団だ。彼らは、中国に何度も侵略され土地を奪われてきた、次に日本の植民地化にあう。皇民化教育を受け、義勇軍として日本軍の前線に送られた。戦死したあげくに勝手に合祀されたというわけだ。今回の訴えは、ネイティブの若い世代が自分たちのルーツをたどる中で、問題として取り上げた。さんざんひどい目に遭ったのだから、祖先の魂を勝手に祀るなという思いも当然あるだろう。
ネイティブの顔を見ると、東南アジアの顔に近い、なかには中国系の顔の人もいる。日本の街を歩いていてよく目にする顔のタイプもある。日本人のルーツの顔だ、と驚いた。部族出身の台湾の立法委員の女性、高金素梅さんは本当に美しい。
ネイティブは本当に歌がうまい。文字を持たない民族で、歌をうたうことで伝承してきた。まさに、日本のアイヌ民族のようだ。映画の中で、部族の歌を歌うグループがいる。彼らがウズベキスタンの音楽祭に行くシーンを観て思ったのは、この民族には歌という強烈な手段を受け継いできたのだと。年配のご老人すら、歌詞の意味がわからないほど古い歌もうたう。意味がわからなくてもこれほど、豊かな感情を歌にのせられる。
台湾のテレビでは、政治家が「原住民は南米へ移住すればいい」と言っている。
高金素梅さんが台湾各地、NY、日本で台湾のネイティブの現状の悲惨さを訴えている。ラストでは、靖国神社の神官に面会しようとするが、断られる。境内では警官や、右翼にじゃまされた時、彼らは歌をうたった。高金さんを囲んでみんなで歌った。周りでは警官が叫んでいる。それでも彼らはひたすら古の祖先から受け継いだ歌を歌う。

大阪地裁では、合祀撤回の訴えは棄却された。
高金さんは、癌のキャリアがある。もうすでに、訴え続けて10回近い来日をしている。

この映画を観て、ナショナリズムをしっかりと批判できるだけの勉強が必要だと感じた。いずれは事実、現場での実感を通してナショナルな問題を考えたい。
by barubuhutatabi | 2006-10-07 00:50 | 映画


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