構成とは何だろう?

「なかなか見えない構成」
 四宮鉄男さんに出会って、構成というものがいかに大事か考えるようになった。
しかし相当映画を見慣れていなければ、一度見ただけで構成が把握できるものではないと思う。自分で作り、構成を考え編集してこそ、他人の作品を見て驚くのだろうと思う。今年はじめて構成と編集に関わることができた。今まで内容と視覚的な印象でしか映画を観ていなかったのかと思ってしまうほど、映画に対する認識が変わったとおもう。
 去年の夏から、今年の五月にかけて撮影した「歓喜を歌う~Andie Freude」という映画を10月に完成することができた。2006年5月6日に障害者の団体が6団体参加して、ベートーヴェンの第九交響曲~第四楽章~を合唱するコンサートが行われた。その練習から本番までの記録である。構成を何回も書き直して感じたのは、文章で構成を書くのだが、映画として説得力を持たせなければならない。映画をしらなければ書きようがないと思った。そして、僕はまだ映画を知らないことがわかった。
 撮影が終われば、撮影した素材をみて構成を考え直さなければならない。編集マンは、撮影現場に行かずに素材だけで構成を考える場合がほとんどだ。現場の苦労とは無縁に素材だけで考えることができる、もう一人の監督ともいえる。最近のビデオの低予算の作品は、優れたものでも監督、編集、さらに撮影もこなしているのが珍しくない。撮影現場で四苦八苦して考えた構成からもう一度大きく離れて映画を考え直す、なんとも人間離れした営みかと思ってしまう。
 四宮さんが「歓喜を歌う」を見て、「編集はいいが、構成がだめだ!」とおっしゃった。このとき、編集と構成はやはり違うのかと考えさせられた。絵のつながりだけに専念すると、構成という骨組みを見失ってしまう。構成とは?僕にとって、まだまだ未知の仕事だ。現在は、技術革新の恩恵で誰でも編集はできる、だけど構成を考えること、映画を考えることは独りよがりではいけない。
未知の領域を知り、映画を観るポイントが増えたと思う。やはり、映画は作れば作るほど、映画を観るのが楽しくてしょうがなくなってくる。
 
 上映会報告
11月19日に小岩の図書館で「メイシネマ」という上映会があり、「歓喜を歌う」を上映できました。あいにくの雨で、お客さんは13人ほどでした。徳島新聞の東京支社の方、広告プランナー、千葉県で上映活動をしながら映画館をつくろうと模索されている方など、本当に映画好きな方が集まっていました。小岩で燃料屋を営む藤崎さんが企画している上映会です。今年は、秋は上映会はしないと家族に宣言していたそうです。(しかし、四宮さんが構成した映画「花よ咲け」と「歓喜を歌う」の上映を決めてくださりました。)宣伝が遅れたので、会員の方々も少なかったようです。
 「花よ咲け」という映画について
”べてるの家”という精神疾患の方々が集う施設があり、そこに通う下野勉さんと山本加代さんが東京の大塚で歌ったライブを記録したビデオを構成した作品です。
精神障害の方が書いた詩に、下野勉さんが曲をつけて歌たった。そのライブはカメラが一台で、ほとんど撮りっぱなしで、編集はライブの休憩に、前日の練習のシーンを挟む程度だった。しかし、ライブがすごく素敵で編集なんかなくても感動的なライブだということがわかった。即興に近いギターと山本さんの歌声、二人の視線のやりとりをカメラはしっかりととらえていて、精神疾患を患いながら公の前で歌うということの緊張感、そして歌うということで二人の心はお客さんに開かれていく。わずかな時間だけど、多くの人と共有できる瞬間だ。
この編集をほとんどしていない映画でも、四宮さんの構成は光っていた。最後に感動的にライブが終了してラストを迎えたと思いきや、また本番当日のリハーサルのシーンに戻っていた。このライブの最初の曲のタイトルは「精神病院へようこそ」という曲だ。曲の調子も暗く、歌う調子も明るさはない。やり場のない気持ちを「精神病院へようこそ!!!!」と叫ぶ曲だ。せっかく盛り上がったのだから、感動的に終わればいいのにと思った。だけどよく見てみると本番とは違って彼ら彼女らはいろんな工夫を試して歌っているのがわかった。お客さんに見せるという気持ちがしっかりとあるのがわかった。四宮さんは構成をこのようにすることで、この映画がライブの盛り上がりの中で完結してしまうのを避けけたかったのだと思う。歌うという行為は彼らがギリギリの精神状態で演じたもので、彼らはまた精神疾患という日常へ帰っていくのだと感じた。リハーサルを最後に見せることで精神疾患を持ちながら歌うということを改めて問うたのだと思う。
四宮さんは、僕が初めてブログで書いた「いのちを耕す人々」の映画の構成・編集を担当された方です。今年の文化庁の記録映画優秀作品として選ばれた作品です。現在は、映像万職人を自称しながら様々な映像の構成・編集をしていらっしゃいます。現在「わたしのニキ」というビデオを編集中です。那須高原にある、女性彫刻家のニキ・ド・サンファルの美術館の風景とその館長を描いた作品だそうです。編集の過程は、四宮鉄男さんのブログ「愚鉄パラダイス」にて結構くわしく公開しています。
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by barubuhutatabi | 2006-12-11 00:16 | 映画


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